管理栄養士の仕事内容

管理栄養士は民間資格とは異なり、栄養士養成校を卒業し、国家試験に合格しないと名乗ることができません。短期間の講習や試験だけで認定される資格ではありません。病院へ介護施設などへの配置が義務付けられている人々の健康を食の面からサポートする唯一の国家資格です。

食は人が生きる上で欠かすことができず、食べること自体が娯楽の要素も含んでいます。成熟した国家である日本では、人々の健康志向が高まり、多くの方が健康情報を欲しています。健康でいたいという願いはわかりますが、手軽で耳障りのよい情報が溢れています。

発展途上で明確な仕事内容が確立していない管理栄養士ですが、科学的根拠に基づいた食と健康の情報を多くの方に伝え、より健やかな生活を送る手助けができる資格だと信じています。

この記事では、私の経験をもとに、管理栄養士の仕事のイメージを書いていきます。
管理栄養士を目指す方に少しでも伝わればと思います。

管理栄養士の仕事

管理栄養士は、食や栄養に関する資格の為、活躍の場が広いです。                ただ、どこの職場でも管理栄養士の採用数は少なくマイノリティな存在です。仕事内容が確立されていないにも関わらず、食は大切なものという曖昧なイメージによって存在が守られているような気さえします。

私の資格取得前の管理栄養士のイメージ

食に関する仕事をしている。存在は知っているけれど直接会ったことはない

身近な存在ではないけれど、国家資格を持って働いているのだから良い給料はもらっていそう

人も生き物だからどんなにハイテクな世の中になっても食の仕事が無くなることはないだろう

私が管理栄養士を目指したときは、まだまだ、インターネットに管理栄養士の情報が少なかった時ですので、進路を決める時期の管理栄養士のイメージはこの程度の物でした。

資格取得後様々な施設での勤務後思ったこと

食の専門家である自分の発言は、アドバイスする人々の毎日の生活に直結するから間違ったことは言えないな。責任があるからこそ、アドバイスが上手くいったときはやりがいを感じる。

病院や施設で給食を食べる方たちは、体が弱っている人が多い。食中毒を出したら死に直結。  365日給食提供と関わりがあり、気が休まらない。

責任重大でやりがいのある仕事だけど、給料は安いな。単価の安い仕事だから仕方ないか。。。

職場ごと細かい仕事内容に違いはありますが、食事のおいしさは人それぞれで正解は一つではなく、食生活のアドバイスも対象の方によってオーダーメイドのものを提供するためやりがいはあります。  当初思い描いていた給料が良いというイメージは、施設ごと待遇が違いかなり安いところもありました。職場選びは慎重に行った方が良いです。

                   

病院、介護施設での仕事

管理栄養士は、看護師の様に医師の指示で診療の補助の医療行為を行ったり、薬剤師の様に調剤をしたりするような、独占業務がありません。食事や栄養の相談は管理栄養士を名乗らない限り誰でも行えます。給食の調理も、調理師でも管理栄養士でも、資格がない料理上手が行っても問題ありません。あくまでも名称独占資格です。

資格固有の特殊スキルがない管理栄養士を、病院などが雇う理由は、診療報酬を得るために定められたルールの中に管理栄養士がいないと請求できないもの、管理栄養士が仕事をすることで請求できる報酬があるからです。

診療報酬や介護報酬は定期的に見直され改定されていきます。栄養士の諸先輩方が、仕事を積み重ねてきたことで国に管理栄養士の有用性、必要性が認められてきているため、近年は栄養士にとってプラスになる改定が続いています。現在進行形で発展していて、自分の仕事が将来を切り開くことのできるやりがいのある仕事だと感じます。

公務員栄養士

公務員として国、都道府県や市町村で働く栄養士です。行政栄養士を筆頭に、学校で働く栄養教諭、学校栄養職員、国立や県立の病院や福祉施設などで働く場合も公務員栄養士となります。

国立や都道府県立病院など自治体が運営する施設で働くと公務員になりますが、仕事内容は民間の病院と変わらないと思います。

公務員栄養士の中でも、役所や保健所で働く場合は目の前の人たちにサービスを提供している病院などとは、仕事のスケール感が違います。管轄する地域の住民に対して関わることができ、対象者は万単位。地域の課題を抽出し、食や栄養に関する情報発信をすることで住民の健康づくりを支えます。一方、難治性疾患や摂食嚥下障害など少数の高リスクの方に対する相談にも対応します。

食品衛生監視員として、食中毒対応や営業許可、食品表示の監視。災害時への備えとして支援体制の整備をすることなどなど、仕事の幅は広く魅力的な仕事です。

難点は、採用人数が少なく狭き門であるということ。希望する自治体が毎年募集を出すとは限らず、倍率も高いです。行政栄養士を目指すのであれば一つの自治体にこだわらず広域で求人を探し、機会を逃さないことです。

個人のスキルでする仕事

管理栄養士を目指す方の中には、資格保持者として就職するのではなく、管理栄養士を背景に持ち、企業での食品開発や料理教室、SNSなどでの情報発信など、国家資格持ちであることを付加価値として働いていきたい方もいると思います。

管理栄養士採用で雇われた後は、いるだけで管理栄養士という資格が働いてくれることもありますが、資格を使わない働き方を選択する場合、個人の資質、実力がモノを言う世界です。

管理栄養士は持っているだけでは、カリキュラムに沿った最低限の知識しか身につかず国家試験問題が解けるただの人になってしまいます。一方、試験勉強に加えて、自身が興味のある分野で取り組んできた経験がある方は、とても強いです。

料理が好きな方は、食材の知識も豊富で、栽培方法、調理方法、含まれる栄養素の知識を組み合わせて情報発信をしWEBライターやSNSで料理写真をアップしている方がいます。もちろん管理栄養士でなくともこういったことはできますが、国家資格持ちであることで情報の信頼性を高められます。

運動が好きで、運動のパフォーマンスを上げるため、スポーツ栄養の知識を自分自身や関わりのあるスポーツチームで実践し成果を上げる経験をしていれば、スポーツチームと契約したり、ジムでトレーナーとして活躍する機会も望めます。

個人のスキルがあれば企業に雇われなくてもフリーランスとして活動もでき、組織に縛られ自身の知識と経験を基に働きたい人は管理栄養士の資格が有利に働くでしょう。

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